2011年6月9日木曜日

どこに視点を置いて授業を見るか

アカチの小学校で開かれた先生向けのワークショップ。

このワークショップを行う際に、何を狙っていくかを考えました。


そもそもアカチ郡はINSET(教員研修)のパイロット(実施モデル)に選ばれていて、

パイロットに選ばれているくらいだから、研修実績もそこそこに積んできたという、そんな郡です。

たしかに、GESががんばって各校長をリードし、実施日程を決定しています。

そして、日程にしたがって各校が工夫を凝らして研修を実施する様子も見られます。

これはとってもすばらしいことだなと感じていました。


でも、以前ブログにも書いたのですが、いざ研修となると


① 研究授業をする先生は、いかに上手にしゃべり倒すかに力を注ぎ、

② 参観者は授業者の「しゃべり」ばかりを観察するから、

③ 参観者はいすに座って子どもと同じ目線で授業をながめている


そんな状況が散見されました。



これはこれで大事な視点だとは思うのですが、

授業は子どもを伸ばすため、だったら子どもの様子を見ないでどうすんのさ。

そんなことも思ったりするわけです。


せっかくINSETをがんばっているアカチ。

授業を見る視点が増えれば、もっと授業づくりがおもしろくなるだろうなということで、

来てくれた先生たちにはこんなことをお願いしました。


① 授業者がいかに上手に話すかより、子どもたちがいかに学んでいるかに注目してください

② 子どもたちの動きや反応に興味をもって、いろんな角度から授業を見てください

③ 参観用のいすは用意していません、立ったり歩いたりして子どもを見てください


「いすがない」ことについて、当初GESや会場校の先生には「むむっ?」と言われました。

でも、説明をしていくうちに分かってもらえました。

オープニングセレモニーで説明した時も、何人かの先生は「むむっ?」という顔をしていました。

が、分かってくれるGESスタッフもいるし、これもチャレンジだしねって思うことにしました。


授業が始まりました。教室で立ちながら参観することに遠慮がちな参観者も、



そのうちに食いついてきました。よしよし、いいぞ。



「ほえー!」と興味を示す大人たちに囲まれる子ども。

最初は緊張気味でしたが、次第に慣れていったようです。



事後アンケートからも、いすがなくて不満だったという様子は見られませんでした。

最初から最後まで、子どもたちの学ぶ様子に注目してくれたようです。


そういうことができたのも、やっぱり日本人ボランティアの授業が抜群だったから。

ペットボトルでヘリコプター作るのも、



色とりどりの「紙キーボード」でタイピングするのも、



パズルで思い思いの形を作るのも、



どの授業者も、子どもが「自分でやってみる」という時間をたっぷり保障してくれました。

子どもに何かを学ばせたいと思う時、僕たちは自然とそういう授業を仕組むようです。

3人の授業者のみんな、本当にありがとう。さすがすぎました。

「これが正解じゃ!」と押しつけたりはしないけど、

ガーナ人先生に少しでも刺激になってくれたらいいな。


一方、このワークショップで課題も見つかりました。

JICAから我らがガーナ人スタッフのクマさんも見に来てくれたのですが、曰く

「ダメダメ!参観者が子どもを指導しちゃってるよ!もう、せっかく子どもが間違えたのに…」


あー、鋭いなぁと考えさせられました。

ガーナ人の先生は、いったん子どもが間違えると、その場ですぐに訂正しちゃう。

近所で子どもが悪いことしたら、誰それ構わず「コラーっ!」と叱るガーナの昭和的雰囲気。

自分としてはむしろうらやましくもあるのですが、

ひるがえって、授業では子どもの「思考錯誤」を待っていられないようです。

何か不備があったら、その場で即指導。



これ、課題としてちゃんと伝えられるかなぁ。

でも、参観のルールとして、これから少しずつ伝えればいいか。

いずれにせよ、子どものそばで授業を見ようとしたからこそ出てきた、新たな課題です。


授業を観る、授業から学ぶってとても奥の深いこと。

実際自分もよく分かっておらず、むしろ今すぐ日本に帰ってイチから教わりたいくらい。

でも、ここで原点に帰りながらガーナ人の先生たちと学ぶのも、自分にはすごく大事なことです。

「参観者がいすに座らなかった!」と喜んでいるようでは歩みが遅いかもしれませんが、

この町のやり方をちゃんと見て、いっこいっこと進んでいけたらと思います。


2日目の教員養成校でのワークショップは、また明日!

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