2011年3月31日木曜日

押しちゃヤよ、そのボタン



「不謹慎ならあやまります。でも不寛容とは戦います。」

肝が据わってないと、なかなか言えません。


情報が少ない中、言葉を選ぼうにも選びきれず、

このブログを読んでいる人を不快にしてないか、不安もあるにはあります。


でもね、2年しかない隊員としての日々、

陽気なこともつづっておきたいと願うのは、本当に不謹慎ですかーっ?

とあえて言ってみたいと思います。


友よ、君の無念も込めて。



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いつも行くフライドライス屋さんで、いつものフライドライスを食べてたら、

ひとりの女子高生がぽつりととなりに座りました。

あいさつをすると、ずいぶんとビバリーヒルズ的な英語でまくしたてるものだから、

「あのぉ、もしかしてご出身はどちら?」とたずねると、「カナダよ」と。

留学の制度を生かしてガーナの高校に通っているそう。

黒人さん&女子なのにボーズ頭ということで、てっきりガーナ人かと思いました。


しかしまぁ、この子がしゃべるしゃべる。

しゃべる内容といったら、

「ガーナ料理はすべてマズい」

「ピュアウォーターはピュアじゃない」

「日曜日は教会に来いってしつこい」などなど。


わかるわかる、ピュアウォーターはたしかにピュアじゃない(笑)って返していたのですが、

その子、肩をすくめながら「ガーナライフはボーリングよ」を多発。

あ、このボーリングは Round 1 とかじゃなくて、boring の方です。


「あー押しちゃってるね、そのボタン」とがっかりきました。

「そのボタンを押したら、終わっちゃうよ」というボタンを

きっと人はだれしも脇に抱えているのでしょうが、

自分にとってのそれは「つまんない」とか「楽しくない」の類かもしれません。


選びもしなかった道すがら、いやたとえ選んだ道であるとは言え、

「こんなはずじゃなかった」と嘆きたいこと、そりゃたくさんあるよ。


でもさ、それを「つまんない」って自分から言ったらおしまいじゃないか。

その前に、もう少しやることあるでしょ。


いつもプラス思考で愚痴もこぼさず、なんて聖人君子のようなことはできないし、

弱音吐くのはみっともないから我慢しろなんて全く思わないけど、

それこそピュアウォーターはピュアじゃねえよなって冗談かましながらさ、

なにかおもしろいことがないか、できないかをしぶとく探してやろうぜ。


ガーナという新しい環境に身を置いて、気持ちが折れそうになった時に

そんなことを日本のオジサンは自分に言い聞かせているよ。


そのボタンに日本のオジサンもよく指が伸びるけど、

押せば押すほど実はつらくなるのも少しは知っているつもりだからさ。


…って、その子の話をよく聞かないままそんな説教を垂れる寸前だったので、

あかんあかんとあわててライスを口に運びました。

いろいろな自分のうちの一人、「マイナス思考でうじうじ言葉を並べてから動く自分」への

もしかしたら「気合い入れろや」というメタファーだったかも、と後から思いました。


そして、日本の教え子は受験を終えたはず。

希望がかなった人もそうじゃない人も、これから新しい生活が始まるわけだけど、

経験則のない場所で簡単に放てる「つまらない」の発射ボタンに、安易に手をかけないこと。

そっくりの境遇に置かれてなお「おもしろい」と言ってる人も、いるよ。


こんなささいな考えは別に書かなくてもいいんだろうけど、

女子高生の顔に教え子たちがオーバーラップしてきたので、独り言のように書いておきます。


4月か…、そんな感じがしない。暑い。桜。

2011年3月29日火曜日

My predecessor returns to Ghana!

「ほぼ日」や糸井重里氏のtwitterで紹介されていたブログです。

被災地で奮闘した看護師さん。

血の通った文章に居ても立ってもいられなくなるから、

今日もガーナで自分のできることをしようと思いました。


JKTS - 被災地へ医療スタッフとして行ってきました -



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バッチリお会いできましたよ、前任の方と。


震災のため大手を振って日本を離れることができなかったのではと心中察しましたが、

今回のミッションはアカチ郡すべての小学校にサッカーボールを提供すること。

地域のサッカー関係者と協力して100個ほどのボールを集めてくださりました。

日本は今大変な事態に見舞われていますが、

今回の来ガをアカチの人たちはずっと心待ちにしていたんです。


教育事務所に到着すると、なんとスタッフ一同がばっちり勢ぞろい!

いやいや聞いてないよ…。サプライズなボール授与式になりました。



カウンターパートのビクターさんは、お礼に「ケンテ」をプレゼントしてくれました。

「ケンテ」とは、ガーナの伝統的織物。こっちじゃかなり高級です。

前任の方との再会、ビクターさんうれしそうだったなあ。


彼の同僚である教師2名もガーナに来てくださいました。

バッグからふと見えた「イエローカード」に、

決して簡単ではないはずのガーナへの旅を決心されたことに

「遠路はるばるようこそ…」と頭の下がる思いでした。

はじめてのガーナ、どのように映ったでしょうか。


イエローカード=黄熱病予防接種完了を示すカード。検疫所で注射してゲットします。
これがないとガーナには入国できません。できないことになってます。
下ネタを放った時に女性隊員に突き付けられるカードではありません。


ホームステイ先、学校、事務所…。

ガーナを離れて1年が経つのに、

どこへ行っても名前を呼ばれて握手やハグで迎えられる様子を見て、

人望とはこのことだと実感しました。

やっぱいい人だったんだな、愛されていたんだな。


短い時間でしたが、お話しできてよかったです。

サッカーボールがどう活用されるか、ちゃんと自分が見届けます。

日本からのお菓子、みんなでおいしくいただきます。

たまにはこのブログを見て、ガーナを思い出していただけたらと思います。

また1年後、お会いしましょう。

ありがとうございました!



2011年3月28日月曜日

オトコマエな人

Japan's tsunami seems to have succeeded

in knocking out a pillar of the nation's whaling industry.


(NYタイムズ 3月25日)



これには正直ばっかじゃねーのって思ってしまいましたが、

NYタイムズには村上龍の寄稿文も掲載されていたようです。

曰く、Loyalty to the group is being tested. と。


今の日本の状況、残念ながらうまく英語で伝えられないから

この文章をそのまま事務所の掲示板に貼ってみようか。


Amid Shortages, a Surplus of Hope By RYU MURAKAMI




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自分の前任者2人は同時に派遣され、

私と同じようにバイクでブンブン小学校を巡回していたそうです。


2人ともバリバリの現職教員で(ちなみに私はパリパリ)、

私に残してくれた指導案や教材の資料の数は相当なものです。

今こうして授業ができているのも、この資料のおかげです。

また、「かけ算表」なるものも作成して、たくさん残してくれました。

この活用法を郡内に広めるという明確な目標も、おかげですぐにできました。


こうして、たくさんの物を残してくれた前任者。

そして、「引き継ぎ書」の中にある「後任へのメッセージ欄」には

「思った通り、好きなようにがんばってくださいね」の一言しかないんです。


しっかり道筋は残すけど、決して「こうでなければならない」と強要はしない。

失敗する権利も遊びも、次の人へちゃんと残してくれている。


こういう姿を、男女問わず「オトコマエ」と呼ぶことにしています。

前任の人たちがオトコマエで、本当によかった。


「後任って大変だよね、比べられたりするでしょ」なんて言われもしますが、

自分はなーんにも気になりません。むしろ、ありがたい限りです。


そもそも、教員ってたとえば前の先生と比べられてたりするもんです。

そこを気にするんじゃなくて、受けたバトンをどう次につなげるか。

自分がどう思われたいのかより、自分が何をしたいのか。

何かをしたい時と考えた時、結局ひとりじゃ何にもできません。


だいぶ早いけど、自分もオトコマエな姿でバトンを渡せるか。

ちょっとした目標でもあります。


そんな前任者の一人が、あと2時間ほどでアカチに到着するはずです。

楽しみだなぁ、しっかりあいさつしてきます。


では、行ってきます。

2011年3月27日日曜日

この怒りは何なんだ

かっこいいとは、こういうことだ。 (その2)



東日本大震災で被災したサッカーJ1仙台の育成組織に所属する

藤沢恭史朗選手(15)=宮城県東松島市立矢本第二中学3年=が、

11日の地震発生時に津波に流された親子を助けていたことが24日、分かった。

藤沢選手は現在も避難所で生活しているという。


同クラブによると、藤沢選手は東松島市の自宅付近で津波に遭遇。

流されないように耐えていたところで流されてきた母子を発見し、

右腕で子ども、左腕で母親をつかみ、近くにあった軽トラックの屋根に上ったという。

胸まで浸水してきたものの、子どもを肩車し、左腕で母親をかかえたままの体勢で耐え、

徐々に水かさが減ったため、無事に2人を避難所へ送り届けて自らも避難した。


藤沢選手は身長約180センチのDFでジュニアユースに所属。

昨年12月の高円宮杯全日本ユース選手権(U15)にも出場しており、

春からはユースに昇格することが決まっている。


毎日新聞 3月24日(木)




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遠くへ行く先々で、子どもたちに「白人さん、たべものちょーだい!」とねだられる日々。

子ども相手に怒るほど心の余裕をなくしているとは思わないけど、

その後ろで「ほら、うちの子になんかあげてやってよ!」と保護者らしき大人に言われると、

怒りにも似た悲しみに包まれます。ガーナ生活も9か月が経つのに、まだ慣れない。


「腹減ったんだ、20ペセワくれ!」

「うちの子に制服買ってあげて!」

「その教材、いいな!俺にくれよ!」

「うまそうだなその飯、俺にも買ってくれ!」

「そのバイク、ジャパン製か?くれっ!」

「お前、歯にシルバー埋めてるのか!くれっ!」

「え、イヤだって?いいだろ、アンタ金のある中国人だろ!」


こういう時は「オレ?元気だよ、ありがとう!!」とまるで噛みあわない答えを返すか、

「オレも腹減ってるんだ、50ペセワくれよ。な、いいだろ。なっ!」

なんて目の笑ってない笑顔で返すと、肩をすくめてどっかに行きます。


しかしまぁ、何でももらえると思っている根性を叩き直してやりたいとも思ったりするのですが、

何せ相手は個人ではなく、この場合きっとガーナという国全体です。

自分がいくらプリプリしたって、何もいいことはありません。


それにしても、なんでこのガーナ流気軽な「ちょーだい」にこんなに腹立つのだろう。

器の小さい自分の性格もあるとは思うのだけど、どうもそれだけじゃない気がしてきました。


というわけで、今日は私の中に流れるジャパニーズ魂を研究してみます。

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韓国と日本の比較文化論ですが、なかなか的を得た文章だと思いました。

以下、第1章を要約してみました。


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日本初の憲法ともいえる十七条、その第一条で「和」が強調されている。

「和」は今日に至るまで日本を支配してきた理念で、日本人の思考の根幹をなしている。

「和」が重視される社会では、自分のポジションを正確に知ることが重要で、

分際をわきまえることが日本人の基本姿勢となった。


今日の日本人も分際を守り、与えられた仕事をパーフェクトにこなす。

なぜなら、このような社会性を踏みはずせば他人に迷惑をかけるからだ。

他人に迷惑をかけることは、日本人にとってタブーのひとつだ。


では、他人に迷惑をかけないためには?

それは、できるできないは別にして、自分の役割をきちんと果たすこと。

許された範囲で、与えられた役割をまっとうすること。

そうすれば、社会はスムーズに回る。

バランスを重視する日本社会では、

自分の役割を他人まかせにしたり、やり残した場合、無能の烙印を押される。


自分の役割を果たすこと。

これが、日本語の「一人前」の意味である。(=ひとりあたりの分)


個人の範囲が明確な社会。

食事の時も、大勢でひとつの鍋から取って食べるのではなく、

各人にひとり分の食べ物が出されるのも、

他人の領域に手を出さず、自分の範囲で処理しなさいという意味かもしれない。

量が足りないからといって他人の食べ物に手を出すこともないし、

残さないように食べ物が少しずつ出されるのも、日本流かもしれない。


つまり、自分の役割を果たすことが、他人に迷惑をかけないこと、一人前ということだ。

日本の社会では、地位の軽重に関係なく、

一人前の役割を果たすと人として扱われるが、そうでない場合は体面を失う。

皆が自分の役割を果たす社会のため、そうでない人を許さず、努力しない人も許さない。


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風のように生きながら、自分の中のジャパニーズ魂とは何かを考え続けられたらと。

明日は「ちょーだい!」を笑顔で手を振り返せるか。


この本、ドミにあるよ。ガーナ隊の皆さん、よかったら。

2011年3月25日金曜日

繰り返す毎日

かっこいいとは、こういうことだ。 (その1)



石井隊長らはホース運搬部隊の被ばく線量を測定。

隊員は胸に線量計を着用しているが、作業中は確認する余裕がない。

「自分の被ばく線量が彼らとイコールになるよう常に付き添った。」

息苦しいマスク越しに大声を出し、必死で数値を伝えた。


「水が出たぞ」。無線機から一報が聞こえた。

「その瞬間、『やった』という達成感があった。みんな同じ気持ちだったと思う。」

全隊員の脱出を確認し、最後に敷地を出た。


胸の線量計は、全隊員のうち最も高い「27ミリシーベルト」を示した。

しかし、石井隊長は「自分でよかった」とほっとした。


「自分の被ばく線量が最大ならば、隊員は自分より安全。それが我々のやり方だ」


(時事通信 3月24日)



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最近は最も遠いサーキットのうちの1つを巡回しています。


こんな道をズンズン行って(たぶん森の向こうはトーゴ)、


くつがこんなんになって、


「あおぞら教室」とかで授業して、


休み時間は「ねぇ、うちに来てよ!」と言われてついて行き、


そこでココナッツをごちそうになり、


昼ごろにはバイバーイって。



最近はそんな日々です。


しかし、どこまで遠くへ行っても子どもたちから

「アリガトー!」と言われたり、前任の方の名前を叫ばれたりします。

どこへ行っても「アウェー」ではないわけです。

自分がスッと入っていけるのも、前任の方のおかげだなと改めて思う日々です。


そんな前任の方が、今週末ガーナに遊びに来るとのこと!

レポートとかでしか前任の方の様子を知ることができないので、

直接会っていろいろ話せるのが、今からとても楽しみ。


では、よい週末を。

2011年3月24日木曜日

Patience meets Japan

私達は他人の幸せや喜びをねたむほど落ちぶれてはいない。

皆さんどうぞ我慢せず楽しい時は笑い嬉しい時は喜んでください。

私達も一日も早く皆さんに追いつきます。

(prayforjapan)


って、自分はこんなこと言えるだろうか…



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JICAのプログラムで3週間福岡で研修を受けて来た人が帰ってきました。

彼女は公立中学校の教師、海外は初めて。

最近彼女が興奮気味に教えてくれる日本での発見とは…


・町がきれい。だれもポイ捨てしない。

・電車が時間どおりに来る。

・ご飯の種類がたくさんある。

・緑茶が最強においしい。

・生の魚を食べられるのが、レベル高すぎ。

・日本の先生、生徒にあいさつする。すごい。

・なんで小学校に図書館があるの。

・大学で習った理科の実験を、中学生が普通にしてた。

・クラスの人数が少ない。絶対そのほうがよい。

・車いすの子どももいっしょに勉強できる環境に感動。

・科学館のプラネタリウムには、死ぬ前にもう一度行きたい。


と、とにかくいろいろ毎度うれしそうに語ってくれます。

自分が普通に暮らしていた風景を新しい視点でほめてくれると、

こちらも新しい発見をしたような気になるし、ちょっと胸をはりたくなる気分です。


特に小学校の充実ぶりには本当に驚いたようで、

「小学校は教える内容が簡単だから、先生をするのも簡単だ」というガーナ人の意見に

「小学校の先生こそしっかりやらなくちゃ、大変なことになる」と反論している自分に

「今ならジュンの言っていることがよく分かる、本当にそうよ」と援護してくれます。


まさに、百聞は一見にしかず。

また一人、強力な味方が増えました。

2011年3月23日水曜日

バナナじゃないよ、プランテーンよ

国連からのコメント

「日本は今まで世界中に援助をしてきた援助大国だ。今回は国連が全力で日本を援助する。」



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プランテーンも、最近よく買うようになりました。

お気に入りは、網焼きしたもの。


「焼きバナナ」と理解していましたが、どうやらそれは似て非なるものだと。

バナナを焼いてもこうはならないだろう、むしろ芋っぽい食感と甘さです。



1本18円ほど。いいおやつだと思えるようになってきました。

平和だなって感謝します。

2011年3月22日火曜日

子どもを通して授業を見る

シスターズがいろいろ知りたがり、いっしょにネットを見てます。

津波のことも原発のことも、沈痛な表情を浮かべて学んでます。

教育事務所のスタッフらも毎日心配してくれます。電話もくれます。

パパさんもママさんも、みんな。


みんなの "Sorry..." を何度聞いたことか。

自分のことのように痛がる、悲しむ。

それだけで、ずいぶんと救われるものだと感謝してます。


だから、自分も。

日本の口座からの募金とかやれることやったら、後は祈るばかり。

You'll never walk alone.




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学校を巡回していると、教育実習生がいることもあります。

実習は1年間。学校側は完全にマンパワーとして期待しており、

先生が不足しているアカチにおいて、大車輪の活躍をしています。

そして、どこへ行っても実習生は学ぼうとする意欲が高くていいなって思います。


さて、先日行った学校。

「よかったら自分の授業見に来て手伝ってよ」と言うと、よろこんで来てくれました。


でも、実際の様子はこんな感じ。

教室の後ろでノート点検を片手間に、ケータイでメールしたりもしてました。



かつての自分なら「5億年早いわ、ボケ」と怒り散らしていましたが、

あまりにもこういう状況に出くわし過ぎたためか、

最近は「そもそも自分がどういうことを期待しているか、知らせてないもんね」と

ちょっぴり寛容できるようになってきたかもしれません。


ジャマだと思わないから、いろんな角度から授業見ていいよと言います。

というわけで、まずはいっしょにいわゆる「机間指導」。


子どもたちの取り組みやノートをいっしょに見ます。

「この子は、どうしてこういう間違いをしていると思う?」と実習生にたずねると、

「あー、きっと繰り上がりが分かっていないわ」と答えます。


「じゃあ、そこを伸ばせばこの子はもっとよくなるね、そういう授業したいね」と

そんな授業を日本でしたことないくせに、まるで何十年もそうやってきたように、

超エラそうにハッタリをかまします。


でも、「あそこの子に、かしこくなるヒント与えてあげてよ」と言うと、

はりきってやってくれます。声かけも上手です。

フットワークも軽くなってきました。



授業のまとめで、理解度がどのくらいか確かめようとなると、

もう「アタシがやるわ!」状態。

そして、「ジュン、この子できるようになったわよ!」ですって。

子どもも実習生もうれしそうで、自分もうれしいです。



「子どもを通して授業を見る」

この言葉が適切なのかどうか分かりませんが、

最近はそんなことを言いたいのだと思います。


授業は、子どものためにすること。

だったら、子どもの様子を見ないでどうする。

少し考えたら当たり前のことなのですが、

日本で先生やっている時に気づけたら、少しはマシな先生になれたかもしれません。


上手な授業とは、先生が上手にしゃべる授業。

よい生徒とは、それにイエッサーとだけ相づちを打つ従順な生徒。


それに一石を投じるとまではいきませんが、せめてかつての罪滅ぼしに、

そして労働条件のよくない先生たちへ「それでも、教えることは楽しい」と言えるように、

何かできたらなと思います。




後日。

この前はありがとう、あれから教えるのが楽しい、

他に何かアクティビティがあったら教えてほしい。

そんな電話をもらって、ガーナに来てよかったとしみじみ思いました。


チャキチャキのなんちゃって文系教師、メッキはすでにはがれ落ちそうですが、

こういうつながりを増やしていけるといいな。

2011年3月21日月曜日

ブラックベリーを食べる

「なんかあった時は、3日分の給料くらい何も言わずポンと出せるように」と

偉大なる先輩に言われたことがあります。

募金する気持ちが大事だけど、社会人なら金額も気にしろと。

残念ながらその教えを守る時が来てしまいました。


ガーナ隊の間でも募金をしようと声がかかってます。

こっちにはあまりお金がなくて残念だけど、協力したいです。


ヒトもモノも、なかなか現地に入りにくいのでは。

ならば、使い道が分かったところで思い切りお金を使ってもらえれば。


聞こえは悪いかもしれないけど、今こそお金だと思います。

世界の同期仲間たちがそう言っていること、私も賛成です。




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ブラックベリーの季節です。

きっとこれはガーナでも南部、海沿いのあたりにしかないとのこと。


ブラックベリーの木は、こんな感じ。




で、これがブラックベリーの実。



硬い皮をバキっとむいて、



笑顔で食べます。



みずみずしいとは正反対の、すべての唾液をもっていかれそうな食感ですが、

ほんのり甘くて、食べだすとなかなか止まりません。


「気にいったか! よーし、そう言うと思ってたくさん取ってきたどー!」

と、ホームステイ時代のパパさんに見せられたバッグ。

「食えますか―い!」と、そんな何でもない昼下がりでした。

2011年3月18日金曜日

Power to the People

昨日授業をした学校の校長先生から、朝電話が。

「今日は音楽の授業をやるから、来てくれ。」

まったく意味不明だったのですが、とにかく来てくれというので「後でね」と返事をしました。


巡回を終えて昼頃立ち寄ってみると、木の下に全校の子どもたち。

「今、日本が大変だろ。友だちとしてせめて祈りをささげたいんだ」と、校長先生。


そうかそういうことか、なんて粋なことを…。

自分ひとりだけじゃもったいないから、写真を撮ってもよいかとたずねると、

よし、じゃあメッセージを書こうと。


そして、祈りの歌がはじまりました。






もう、何と言って感謝したらよいか分かりませんでした。


日本のことを思っている「友だち」がここにもいるということ、

少しでも伝われば、きっと彼らもよろこんでくれます。


本当にありがとう。

いい国に来たのか、いい人に出会えたのか。

2011年3月17日木曜日

巡回型教師隊員、1日の例

こんなブログがありました。

「あの恐怖と屈辱は、記憶よりさらに奥に刻みつけられてしまっている」


いてもたってもいられない、今すぐ飛んで役に立ちたい。

多かれ少なかれ、きっと人はそんな風に思うのだろうけど、

こういう時こそ冷静に、被災者の方の気持ちを察したり、

何が喜ばれるのかをよーく考えたりするのが大事なんだなぁと。


覚悟のない正義感が、いやヒーローになったような錯覚が

こういう時、とってもジャマです。

そして、「よろこばれたい」って思ってたはずなのに、

いつの間にか「俺はすごい」とか「目立ちたい」とか、

そんなのが善意の裏側で計算高く笑ってないか。


って、不謹慎にもガーナでの自問自答と地震をリンクさせてしまいました。

自戒をこめて。



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最近活動のことを書いていなくて、

「あいつはちゃんとやってるのか?」と疑われそうなので、

今日は最近の1日を書いてみます。




6:20 出発。


エンジンつけては止まって…を3回くらい繰り返して、

ようやくエンストしなくなったら家の周りを試運転。で、出発。

この試運転、朝の儀式みたいになってきました。




6:22 道で朝ごはん。


メイズでできた甘い粥状の「ポリッチ」。

前は「こんなモン食えるか!」って思ってたのに、

今ではこれを食べていかないと授業中頭が回らないので、不思議なものです。

ナッツをのっけて23円ほど。5分ほどで流し込みます。




6:27 本格的に出発。


基本的に赤土のラフロードをひた走ります。

あんまり人とすれ違わないので、ボーっとして走ってます。

ブログに何書こうか、今日の夜は何食べようか、そんなことばっか。

そして歌います、WANDSとか。



赤土の道と言っても、いろんな種類があります。

粘土質の固くてデコボコの激しい道、砂が多くてタイヤがとられそうな道…。


こういう水たまりも気をつけたいですね。

写真じゃ伝わりにくいと思うのですが、

この周りの土、ろくろを回すことができそうなくらい柔らかいです。

なので、ハンドル取られたり、バイクを押している時に滑ったり…

左側によけようと思っても、実は50cmほどの穴が仕掛けられていたり…


今回は水たまりの真ん中を突っ切って、事なきを得ました。




7:50 学校着。


学校に着いた頃にはズボンも汚れ、歌い疲れ、すっかり業務終了の気分です。

ここからうっしゃと気合いを入れ、授業をします。


ちなみに黒板はどこもこんな感じ。傷んで字が読みづらいです。

磁石?くっつくわけありません。



チョークも折れやすいし、字を書いているとものすごい速さで消費されるし、



黒板消しもこんな感じ。でも、あるだけありがたいです。




10:15 休憩。


どこへ行っても、子どもたちは軽食を取ったり遊んだり。



ちなみに、サッカーゴールはこんな感じ。



自分はトイレに行って、



そこの先生とおしゃべりしてます。これ、けっこう大事です。

今日は超合金級の硬さを誇る「ガリ」をごちそうになりました。

これもおいしく食べられるようになりました。


でも、苦手なものが出されると

「おい、もっと食べろ!」

「いや、ひとくち30噛みしないと日本人は太っちゃうんだ」

そんなことを言って逃げ切る「牛歩戦法」を最近覚えました。



10:45 授業再開。


もうひとコマ授業をして、先生たちと軽く意見を交わします。

当初は「どうでしたか、自分の授業は?」と聞いていましたが、

今考えると、とんでもないことだと恥ずかしくなります。

そんなこと聞かれても、悪くても「よかったよ」と答えるしかないから。


「この教材はこんな風に作ったよ、材料はこうして手に入るよ」とか、

「あの子、授業の最後には何も見ないでかけ算の問題できたね」とか、

できるだけ具体的な言葉で会話のきっかけを探すようにしてます。


本当は、授業の始めに視点を明確にして見てもらえたらいいのだけど。

これ、目下の課題です。


で、子どもたちともバイバイ。

朝よりも距離が近くなってると思うと、ちょっとうれしいです。




12:00 他の学校にあいさつ。


「この近くに、こういう名前の学校があると思うのだけど?」とたずねながら、

来週以降に行く学校を探してまわり、指導案とともに日程を合わせに行きます。


えーっと、たしかここを曲がれと言われたけど…。

こんなヤブ道、ほんとか?



あ、



ほんとだ。



というわけで、校長先生と交渉開始。

どこへ行ってもウェルカムなのが、本当にありがたいこと。




13:15 帰路に着く。


アスファルトの道も、少ないけどちゃんとあります。

緑を見ながらひたすら続く長い道、気持ちがいいもんです。


君のこころぉにつーづく~、

長い~…、くそぉ、出ねぇな。 ながい~、あれ。 ナガイー!…




14:30 気が向いたら昼食


最近、お気に入りのライス屋さんでジェロフライスが新発売。うれしいです。

この後、ガソリン入れて、教育事務所に寄って帰宅。

お疲れ様でした。



洗濯物を取り込む、水浴びをする、ちょっと昼寝をする…。

そんなこんなで、あっという間に夕方です。


一日の流れが決まってきたので、最近だいぶ過ごしやすいです。

なんでもない日、バンザイ。

2011年3月16日水曜日

サッカーが好きな人に悪い人はいない、と思う

ディズニーランドでは、ショップのお菓子なども配給された。

ちょっと派手目な女子高生たちが必要以上にたくさんもらってて

「何だ?」って一瞬思ったけど、

その後その子たちが、避難所の子供たちにお菓子を配っていたところ見て感動。

子供連れは動けない状況だったから、本当にありがたい心配りだった

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終夜運転のメトロの駅員に、大変ですねって声かけたら、

笑顔で、 こんな時ですから!だって。

捨てたもんじゃないね、感動した。

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千葉の友達から。

避難所でおじいさんが「これからどうなるんだろう」と漏らした時、

横に居た高校生ぐらいの男の子が

「大丈夫、大人になったら僕らが絶対元に戻します」って背中さすって言ってたらしい。

大丈夫、未来あるよ

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惨事の中にも、希望の光が見えます。

でもね、これがただの「感動ブーム」で終わってしまったらいけないって痛切に思います。


ネットもテレビも落ちつき出した頃、それでもちゃんと地震のことを覚えているか。

今からネットのニュースを見て気持ちを痛めることは簡単だけど、ね。

それでも日本は素晴らしい国だねって今すぐ胸を張ることも気持ちいいけど、ね。


そうありたいのに正直ちょっと自信のない自分に、言い聞かせるように書きました。


上は#prayforjapanからの出典でした。今日も元気出していきましょう。

ガーナのことも、書きます。 それでも地球は回っている。



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この時期は各地でスポーツ大会が行われます。


スポーツといっても、もっぱらサッカーです。

私もいろいろな会場をはしごしては、応援してきました。




それにしても、ギャラリーの数はどこもハンパないです。



ゴールを決めた瞬間なんて、さぁ大変。

観客が一気にピッチへなだれこみ、



踊る!歌う!ハイテンション!



給食のオバちゃんも、踊る!



決められたチームはそれをうらやむ! 分かりやすいリアクション!



歌って踊るのを扇動してるのは、意外と先生であったりします。

ほら、この教育実習生も楽しそう!

いいよ、そういう生き方! 若いってすばらしいんだよ!



ちなみに、アフリカの国ではスパイクが買えずにはだしでサッカーを…

というイメージがあるかもしれませんが、今回ビックリしたことがあります。

それは、1点取られた方のチームが「よっしゃ、本気出したろか」と言わんばかりに

一斉にスパイクや靴をポイポイと脱ぎ捨てていたことです。


曰く、「こちらの方が強く蹴れる」とのこと。

ケガが心配で、日本のオジサンはヒヤヒヤしながら見てました。

少なくともわが町では、スパイクを履けないのではなく、履かないようです。


このチームもはだしの子、靴下の子、スパイクの子、まちまちですね。




ガーナの少年少女たちへ。

日本のお兄さんお姉さんも、サッカーが好きなんですよ。

筋肉痛が2日後に来た人もいるみたいですが(笑)







(いやぁ、写真うまいっすねぇ!)