2010年10月20日水曜日

ほかっとけ、でもほかっとかない

自分は曲がりにも学校の先生をしてから派遣されているので、

先生としての楽しさや難しさみたいなものを、少しは知っているつもりです。


6年という短い時間の中にもいろんなことがあったけど、

自分の中でのターニングポイントは

「そんなん、ほかっといてやれ」って言うようになったことでしょうか。


部活でスタメンから外れて悔しい思いをしている子がいる。

打ててたのに、なぜか突然バットにボールが当たらなくなった子がいる。

自分はがんばっているというのに、成績が伸びない子がいる。


こういう子に、先生として言ってやれることは少なくないです。

左足のキックを伸ばしたら、もっとプレーの幅が広がるから練習しようぜ、とか

ヘッドが下がってるからじゃないか、素振りしてみようか、とか

夜遅くまで宿題やってるらしいけど、それまでの時間はどう過ごしているんだ、とか。


でも、結局やるかやらないか、

変わろうって本気なのか、それとも口だけなのかは本人次第なんです。

「ちゃんと教えてくれない」「塾に行かせてくれない」って人任せの人がいるけど、

そんな子には「アホか、目覚ませ!」と一喝したくなります。

本人が本気になって変わろうとしない限り、

力を伸ばすとか人生を変えるとか、そんな「奇跡」は起こりっこないです。


で、あえて突き放すようなこともするわけです。

なんでもかんでも与えるのではなく、自力で這いあがってこれるのかどうかを待つ。

自分が本気なのかどうか、自分に問いかけさせる。

「ほかっといてやれ」っていう言葉を聞いた人は

「コイツ、それでも先生か?」と思うかもしれないけど、

その方が本人のためになるということは、往々にしてあると思います。


でも、最初はこれができなかった。

原因をいつも技術論に返して、肝心の本人のやる気に火をつけるようなことはしてなかった。

しかも、心を鬼にするってのは、「本当にこのアプローチでいいのか?」とか

「恨まれっぱなしで帰ってこないかもしれないが…」など、それなりの覚悟が必要なわけです。

先生って、だれも子どものことが嫌いじゃないものね。


さらに、このような方法を講じた時、とっても大事なのは

「本人に気づかれないように、さりげなくめっちゃその子を見る」ということ。

泥沼から這い上がってきた時に手を貨せるように準備しておきたいし、

いつかまた歩き出す時に「私はそれでも見捨てられてなかった」と思わせたいから。

「ちゃんと見てるよ、興味をもっているよ」というのは人間関係のキホンだと思います。


そんなことを先輩先生から、あるいは成長していく生徒から教わりました。

実際、自分はこれを一人でできるようなグレートティーチャーではなく、

何度も何度も失敗していたし、

誰かを突き放したら、必ず「アニキ的」「お姉さま的」「パパ的」「おかん的」な

別の先生がいつもフォローしてくれてました。

本当に自分は恵まれた職場にいました。F中の先生方、お元気ですか。

突き放したのなんだの、すったもんだあった卒業生や在校生たちは元気にやってるのかな。



さて、なんでこんなことを書いたか。

それは、あまりにもこっちの先生が子どもに興味を示しているように思えないから。


今日は違うクラスで、昨日と同じかけ算の授業をしました。


6の段を練習している最中、自信マンマンに声を出してた子を

「ウルサいわね!」とムチでしばく担任のマダム。


最後の演習問題で、6の段を間違えて答えた子を

「本当に馬鹿ね!」とムチでしばく担任のマダム。


その割に、演習をしている間は一切子どもの様子を見ず、

ケータイで世間話をする担任のマダム。


私が正しくてマダムが間違っているということを言いたいのではありません。

ここはガーナで、ガーナの考え方があるわけですから。


でもね、最後の演習で6×7までは言えるようになった子を見つけて

「グッジョブ!」って言っただけで、その子めっちゃ喜んで、手を握ってきたよ。

先生してて楽しいのって、そういう瞬間だぞー。


この厳しい環境で学校に来ながらも勉強が分からん子をほかっとくのと

さっき言った「ほかっとけ」は、全然意味が違うぞー。


そういうことを伝えたいのだけどうまく伝わらない、この言葉の壁。

そして、言葉の壁よりブ厚く感じる、考え方の違い。


チクショー!これを読んでくれているみんなと

「オラに元気を!」と元気玉を作れたら、一撃なんだろうな。

なーんてグチグチ言ってもしょうがないから、今日はパイナップル食べまくるぞ。


では。

7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

教育はね・・・その国の文化の結晶なんだよ。
日本は2000年の歴史そのものがやっぱり
教育の歴史なんだ。
戦後中国人記者が日本に来て最初に驚いたのが、ぼろぼろのがれきの中で、親よりも子のほうが、栄養が行き渡っていた姿。
親が自分よりも子を優先していた事実に中国人記者は衝撃を受けた。
日本はすごい。必ず復興すると。
これも日本が培ってきた文化なんだ。
すなわち、次の世代を大切にする教育。
ガーナは、普遍的な文化はないよね。
世界に広まることが普遍。だから、ガーナにも文化はある。とはいえないんだ。
その種うえをしているのがYちゃん君だよね。
人間は人間にしか教えられない。
君の力が発揮されるチャンスだよ。
百玉そろばん送るから、日本の教育力で
ガーナに種を植えてくれ。

Kofi Jun さんのコメント...

先輩、あざっす!

ガーナはアカンと言いたいのではなく、ただただ驚く日々であります。
でも、「すごい」「がんばってるな」って思える先生、この町でもちゃんと出会えてます。
四の五の言わず、まずは自分がちゃんと授業できるようにならないと。
「先生が足りないんだ、ずっといてくれよ」なんて子どもがあふれかえる教室の前で言われると、ウオォーーーってなります。

いつも日本から授業のアイディア、ありがとうございます!
お互い楽しくいきましょうね。
帰ったらしーすー行きましょう!

satoko さんのコメント...

ガーナのことで理解に苦しむことがあったら、不信感がつのりすぎる前に、信頼のおけるガーナ人に相談してみるのがベストかと思うよ。教育分野のことなら、JICAのママさんとかナナさんとか。

Kofi Jun さんのコメント...

satokoさま!

コメントありがとう。
不信感ってのは全然ないよー。
いつも心の中で「うっひゃー」って叫んでいる感じ(笑)
ただ、そういう感覚を慣れてしまう前に、ちゃんと覚えておきたいなとも思います。

来週、同期で会えるが楽しみ!
またその時たくさんしゃべろう!

NOT EAST さんのコメント...

先生お久しぶりです!
去年先生のクラスだったF中の男子です。
中間テストの結果も返ってきて、また期末に向けてやってまーす。
その前に文化祭もあるんでうまいことやってきます。
志望校のK高校にいけるように頑張るので先生も頑張ってください。

Kofi Jun さんのコメント...

EAST、いやNOTEAST氏!

久しぶりだの、元気そうで!
勉強も行事も本格モードですね。
今が一番楽しいでしょ?
ひそかに応援していますので。
受験も…NOTEASTなら120%でがんばっていることだろう!

最高の中学生活を!

shokola さんのコメント...

Hi, Kofi Jun
私もばしばししばくマダムにはいつも呆然とさせられるわー。でも現地には現地のやり方考え方があるしね、それ無視して自分の価値観貫いてもただの押しつけだしね、そこは村落やってる私もいつも思うことです。
「ほかっとけ」かなり頭の芯に響きました。
ほかっといて、でもちゃんと見てるよって信号送るの、じゅんじゅんが魅力的なのってそーゆーこと出来るからなのねって納得。
ガーナの劣悪な環境で懸命に通学している子供にほかっとけというのではなく、でも超放置プレーのマダム達やカオスと化してる教室やグランド、物事の優先順位や習慣、生活、家族システム、全てが全く違うアフリカの現実の中で、でも意外と普通に暮らせるんだけど、やっぱり全てが根本的に違くって、でもそんな中でじゅんじゅんに褒めてもらえた生徒は一生それを胸に、大切な宝物にして生きていくんだと思う。
あー、今ボール配ってるのよね。村落活動で一緒に働いてるおっちゃんおばちゃん達の子供の通う学校に。
何が出来るかしらね、ガーナで。
頑張りましょ!
Yaa Shoko