2012年3月19日月曜日

虹の足から虹の足へ



忘れ物をしたりトイレに行きたくなったりしていなければ、

今頃ガーナを出国できているはずです。


ここしばらくは、アカチのガーナ人とも、ガーナでお世話になった日本人とも、

ひとまず中締めのあいさつをしました。


アカチでは、お別れパーティだということで何度かお呼ばれしました。

しかし、日本でもそうかもしれませんが、

別れを集まるきっかけにして、ただ飲みたいだけじゃなかったかと(笑)



あくまでも私の周りの場合ですが、ガーナの人たちは別れの時に感傷を見せません。

およそ2年暮らした家族なんて、スーツケースを持って

「じゃ、ほんとにお世話になりました」という私に

「オッケー、明日な!」って(笑)

明日帰ってきたらそれはだいぶ問題だからと思いつつ、なんだかいいなと思います。



現地語の「さようなら」を英語に直訳すると We shall meet となるようです。

生きていればまたどこかで会うと思います。

こんな風に送り出してもらえるので、別れが寂しくて仕方がないというよりは

戻ってきてもいい場所ができたことに胸を張りたい気分です。



いっしょにがんばった隊員仲間や、ガーナで知り合った日本人の方々にも、

いろんな形でよくしてもらいました。

みんな、日本にいたら会えなかったかもしれない骨太で優しい日本人ばかりです。



敬愛するタイのさっちんブログに、こんな詩が紹介されていました。


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「虹の足」   
         吉野弘


   雨があがって
   
   雲間から
   
   乾麺みたいに真直な
   
   陽射しがたくさん地上に刺さり
   
   行手に榛名山(はるなさん)が見えたころ
   
   山路を登るバスの中で見たのだ、虹の足を。
   
   眼下にひろがる 田圃の上に
   
   虹がそっと足を下ろしたのを!
   
   野面にすらりと足を置いて
   
   虹のアーチが軽やかに
   
   すっくと空に立ったのを!


   
   その虹の足の底に
   
   小さな村といくつかの家が
   
   すっぽり抱かれて染められていたのだ。
   
   それなのに
   
   家から飛び出して虹の足にさわろうとする人影は見えない。
   
   ――おーい、君の家が虹の中にあるぞォ
   
   乗客たちは頬を火照らせ
   
   野面に立った虹の足に見とれた。
  
   
   多分、あれはバスの中の僕らには見えて
   
   村の人々には見えないのだ。


   
   そんなこともあるのだろう
   
   他人には見えて
   
   自分には見えない幸福の中で
   
   格別驚きもせず
   
   幸福に生きていることが――。

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ガーナという国も結局は人の集まりですから、

ほっこりする顔もあれば、どうしようもない一面もあります。

しかし、その瞬間には気づくことができなかったことが多かったものの、

トータルで見れば虹の中にいるようなステキな時間を過ごしたのだと思います。


そして、ガーナから見て初めて気づいた日本の虹の色もありました。

二つの虹の足を行き来した自分はぜいたく者です。

虹の足にいながら虹の美しさに気づくのは簡単ではないけれど、

この2年でもらったもうひとつの視点は大事にしたいところです。

2 件のコメント:

ミギワ さんのコメント...

お疲れ様です!
そして、素敵な内容をありがとう。
急に自信を無くしました。
いや、あった方がおかしい。
山本さんのような人が行くわけじゃないことを申し訳なく思いながら、
私は私らしく、そして、彼らのエネルギーを奪うことなくエネルギーの掛け算をできるように、頑張ります!

Kofi Jun さんのコメント...

ミギワさん!
コメントありがとうございます!
あのぉ、この前もお電話してバレてると思いますが、自分こんなんなんで(笑)
後任としてアカチに赴任されること、自分もうれしいし、きっと前任の方々もうれしいだろうし、アカチの人はすでに喜んでいます。
同じような職種のボランティアもミギワさんのことを待っています。
お体には気をつけて、楽しんできてください!
赴任される前にお会いできたらいいな。
また電話かメールします!