2011年3月11日金曜日

ガーナで児童労働を考える


先日、ガーナ隊員が企画したワークショップでACEの白木さんという方のお話をうかがいました。

ACEとは「世界の子どもを児童労働から守るNGO」ということで、

カカオを切り口にして、児童労働についていろいろと考える機会を得ました。


たくさんのデータが整理され、シミュレーション体験などの工夫も凝らされていました。

首都と任地をダッシュで往復した甲斐があったと思える、とても有意義な時間でありました。



で、じゃあ自分はこの機会をどう生かせる?と考えた時に、

一筋縄ではいかないこのような問題にスッキリとした答えは出しづらいのですが、

ふと、かつて担任した生徒の文章を読みたくなって、探しました。


「カンボジアの子どもたちの児童労働について考えること」という

他校の中学生が書いた文章を読んだ後の、うちの中2の生徒が書いた感想文です。


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「今あなたは幸せですか?」という質問があり、

私はカンボジアの子どもたちは毎日大変でつらいと思うけど、

きっとそれを聞いたら「生きているのがつらい」ではなく

「幸せです」と答えるのではないかと思いました。


なぜかというと、生まれ育つ場所は自分で決めれないし、

たぶん生きているだけで幸せと感じているんじゃないかと思ったからです。

私はそのカンボジアの子どもたちに、ずっと「幸せです」と言ってもらえるように、

今、私(私たち)ができることを積極的に取り組んでいきたいと思いました。


それは、募金です。


少しでも一人が出すことによって、助かる命があると思ったからです。

募金だけではなく、物を大切にするということにも心がけていきたいです。

私たちは不自由なく生活できても、カンボジアの子どもたちはすごく頑張っているわけだし、

私たちだけがそんな思いをしていいのかなぁと思ったからです。

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クラス内のほとんどの生徒が「かわいそう」「きっとつらいだろう」と書いていた中、

彼女は少し違う視点をもっているなぁと感じ、PDFとして保管していました。

「ずっと『幸せです』と言ってもらえるように」や、

「私たちだけがそんな思いをしていいのかなぁ」という言葉が、この子らしいです。


しかし、「私たちができること」として募金がまず挙げられていることには慎重になりたいところ。

「ほっとけない、じゃあお金を寄付しよう」も決して間違ってはいないと思うのですが、

どうしてお金が必要なのか、集めたお金をどう使ってほしいのか、

そして、実際はどのように使われていくのか、自分たちがどのように役立ったのか、

そんなことをもっと考えさせないと、何の解決にも学びにもなっていないなと心配なのです。


たとえば児童労働の現状のようなストーリーを聞かせただけで、

「じゃあ、私たちは何ができる?」と問いかけても、

きっと薄っぺらくて、誰からもツッこまれない程度の無難な答えしか生まれないでしょう。

かつて自分のクラスが「人権作文」を聞いた時のように。


「私たちとは違う、悲惨な世界」と伝えるだけではなく、

「私たちと同じ部分もある、陽の当たっている世界」も伝えた上で考えさせないと。


でも、日本で聞く途上国の情報は、貧困・飢餓・紛争など、いつも暗いイメージばかり。

確かにそういう一面もあるかもしれないけど、そうじゃない部分もたくさんあります。


例えばわれらガーナ隊は、帰国後きっとガーナのよいところをたくさん日本に伝えると思います。

もちろんそうじゃないことも伝えるのだろうけど、

「貧困極まりないアフリカの…」なんて判で押したような表現は、きっとだれもしないと思います。

「自分を棚に上げた正義の人」に変身して、むやみに批判する人もいないでしょう。


いろんな情報が当たり前に共有されて、いろんな角度から考える機会が増えると、

例えば同じ募金活動なんかでも全く意味が違ってくるだろうし、学びも生まれるのだと思います。


だから、まずは自分自身がもっとちゃんと知ること。


たとえ、世知辛いニュースが一面的に飛び込んできて判断が難しくても、

せめて「自分とは関係ないだれか」が不平等なことをしていると憤るのではなく、

「自分ももしかしたらその一人かもしれない」という可能性を疑うこと、忘れたくありません。


現場に足を運ぶ白木さんからは、今回よい刺激をたくさん受けました。

「自分も児童労働にかかわる一人かもしれない」「自分もこの世界とつながっている」

という前提で行動しているのが、好印象の秘訣ではないかと思いました。


興味のある人、そういう授業をしたい先生にとって、一つの大きな参考になると思います。

書きながら考えました。 まとまらない文章、申し訳ないです。


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児童労働の定義とは? お手伝いとはどう違うのか?

なぜカカオ農園で児童労働がなくならないのか?

そんなことがデータや事例とともに書いてあります。


チョコにまつわる活動もたくさんありますね。

今回私たちが体験した教材もあるんですって。はい、チェケラ!






2 件のコメント:

SPAM lite さんのコメント...

しかしなんだかんだ、子供が売ってるピュアウォーターやユニットの方が、買ってやるか。って気になるぞ。
そすっと、子供の売り手が増えちゃうね。
でも、子供が頑張ってんだから買うしね。
子供を働かすな。と親に説得しても、じゃ、収入どうすんだって言われたら困るね。
代案も出さずに正義ヅラは出来ないね。
買うね。

難しいね。

Kofi Jun さんのコメント...

すーさん!

「代案も出さずに正義ヅラは…」、間違いないっす。
一筋縄ではいかないこの類の問題、せめて忘れてしまわないように考え続けることが大事だと感じました。
任地に住んでいて、あまり深刻に感じることがないものね。
すーさんの村ではどうでしたか。

アクラモールの前に物乞いの子どもたちいるでしょ?
この前ヨーロッパ系の人が小銭をあげて思いっきり笑顔で手を振ってたのね。

うまく言えないけど、衝撃でした。