2011年6月13日月曜日

誰がためにワークショップはある

忘れないうちに、もうひとつワークショップで挑戦したことを書いておこうと思います。

小学校でのワークショップは、郡内から先生をセレクトして招待しました。

セレクトやワークショップの宣伝はGESががんばってくれました。


結果的に、招待した先生たちはほぼすべて参加してくれました。

しかも、最初から最後まで精力的に授業を参観してくれて、本当によかったと思います。


なぜそのことにほっとしているか。

それは、今回のワークショップへの参加にあたり、交通費を支給しなかったから。



ガーナでは何かワークショップを開く時、主催側がいろいろと用意するものだと考えるようです。

参加するための交通費、お昼ごはん、日当、その時に使うノートやペンも支給…。

参加者にとってワークショップとは「私は参加に値するエラい人だから、参加してあげる」

そういうものらしいです。


なので、タチの悪い参加者は、そういうプレゼントをもらってサっと帰ってしまうことも。

GESが教育に力を入れたいと願うなら、そんな考え方に向き合わなきゃと感じています。


というわけで、そういう支給はなしにしようとGESスタッフに提案しました。

みんな、最初は渋い顔をしました。

「お金がかからないのはいいけど、我々のおもてなし度合いが低いと思われるのもねぇ」

「そんなことしたら、だーれも来ないよ」


こちらとしてはとにかく、

「ワークショップで学んだことは、いずれその人に還っていくのだから」の一点突破を試みます。

教育長やカウンターパートは、「そうだそうだ」とこちらの援護をしてくれました。


結局、「まぁ、ガーナは暑いんだから、水分は出してあげよう」

「帰り道が長い人もいるんだから、ちょっとしたスナックは出してあげよう」で話は落ちつきました。

交通費は国から降りている研修費でそれぞれまかなうようにGESスタッフがアドバイスしよう、

自分の今後のためにお金と時間を使うことが大事だとあらかじめ説明しよう、ともなりました。


今回、表だってこのことに文句を言う参加者はいなかったし、

いつもとは違う待遇の悪さに抗議して不参加という先生もいなかったように思います。

ラフロードを1時間以上かけてくる先生もいたので、頭が下がります。

それもこれも、GESががんばって参加者へはたらきかけてくれたから。ありがたい限りです。


「身銭を切る」という感覚、なかなか説明が難しいなとは思いますが、

自分の将来に自分のお金や時間を投資するって、簡単ではないけど大事なことだと思います。

将来なんて見えない、明日の食事すらも分からないという状態で

こんな話をするのならば馬鹿げているのかもしれませんが、

ガーナは、少なくともアカチで働く先生たちは、少しずつ次の段階に行ってもよいと感じます。


フィリピンでがんばっているこーた君のブログ「イロイロ…」にいい言葉が書いてありました。

曰く、フィリピンの先生たちの「資質を培う」、そんな活動ができたらと。

頭の中の類義語をたどると、「資質を培う」は「心構えを作る」とも言えるかなぁ。

「こころがまえ」とはよく言ったもので、「心が前」とも言えます。


お金やご飯といった特典を期待して「参加してあげる」のではなく、

自分のスキルアップや生徒のために「参加したい」と言ってくれる、

そんな「心が前」な先生が一人でも増えてくれたら、いいなぁ。


こればっかりは、そうなると信じて、コツコツとやっていくしかないです。

今回はGESががんばってくれたから、次は自分の番。

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